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常位胎盤早期剥離(早剥)
常位胎盤早期剥離って何?
常位胎盤早期剥離(早剥)は、正常の位置に付着している胎盤が、妊娠中または分娩経過中の胎児娩出前に、子宮壁から部分的または完全に剥がれてしまう疾患です。
発生頻度は0.3〜0.9%といわれています。
通常は、胎盤は赤ちゃんが生まれたあとにはがれ、娩出されます。
胎盤は、赤ちゃんにママからの沢山の酸素などの栄養を供給する大事な役割を持っています。
その胎盤が最初にはがれてしまうと、赤ちゃんへ酸素がいきわたらず仮死または亡くなってしまうケースもあります。
また、ママの身体もDIC(出血が止まりにくくなる)をひきおこし大量出血で臓器に障害をひきおこしたり、子宮を摘出しなくてはならなくなるケースもあります。出血が止まらなければママの生命にもかかわります。
ママや赤ちゃんにとってもかなり危険な状態になる可能性が非常に高い、とても重要な病態です。
みみりんも、何度か経験しました。幸い、赤ちゃんやママの生命にかかわることはなかったものの本当に毎回、怖いです。
常位胎盤早期剥離(早剥)の症状
性器出血、子宮収縮、下腹部痛など、陣痛と同じ症状です。
ただ、胎盤が剥がれている部分が限局的に痛かったり硬くなったりします。
陣痛なら痛みがおさまる時期がありますが、それがなく痛みがずっと続く場合
その間、胎動が鈍い場合などあればすぐに受診しましょう。
出血はある場合、ない場合があります。
常位胎盤早期剥離(早剥)の原因・誘因・リスク因子
常位胎盤早期剥離(早剥)の発生機序ははっきり解明されていません。
ただ、以下のようなリスク因子があげられています。
出来るだけ、リスク因子を下げるような生活を行いましょう。
妊娠高血圧症候群:PIH
胎盤床のらせん動脈の退行性変化・血管攣縮により、虚血状態が引き起こされやすいことが関連しているといわれています。
早剥症例の3分の1〜3分の2は妊娠高血圧症候群:PIH 症例であり、重症化しやすい。
常位胎盤早期剥離の既往
次回の妊娠での再発率は5〜15%といわれています。(既往がない症例の10〜25倍)
また再発は前回の発症時期よりも早期におきやすいと言われています。
前期破水:PROM、絨毛膜羊膜炎:CAM
羊水過多にPROMを合併すると、急激に子宮の内圧が低下して早剥を発症しやすいといわれています。
CAMなどの子宮内感染では胎盤、卵膜に浸潤した好中球によって顆粒球エラスターゼが放出されて、脱落膜の接着性を低下させるために胎盤が剥離しやすくなると考えられています。
PROMの場合、非PROMの2.4〜4.9倍といわれています。
胎児奇形・IUGR (子宮内胎児発育遅延)
胎児奇形症例では胎盤の形成異常を伴うものが多い。
また、重症のIUGRの症例では、PIHがその原因である場合が多いため、リスクになっていいると考えられています。
喫煙
喫煙によってPGI2産生の抑制や胎盤血管の攣縮をおこすため、早剥のリスク因子となっています。
喫煙妊婦さんの早剥発症率は、非喫煙妊婦さんの1.4〜1.9倍といわれています。
薬物使用
発症した場合
超音波エコーやNSTで診断します。
剥離面が少なく症状がない場合は、様子を見ることもありますが、気づいたときには重症な場合が多いので診断がついた場合、即、緊急帝王切開になります。
DICに対する治療はもちろん、出血が多い場合はママの生命優先で子宮摘出するケースもあるでしょう。
予防しましょう!
予期、予防は難しいといわれていますがリスクを下げることは出来ると思います。
妊娠中できるのは、
・喫煙しない
・PIHを予防するためにも食事や体重管理に注意するということ
・健診は必ず定期的に指示通りに受診
・いつもと違うことがあれば必ず受診しましょう!